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KODAK Brownie 127
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2006. 9. 9
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英国コダックから発売された入門カメラでボックスカメラの流れを汲む。
1953年から1959年にかけて供給された。 ベークライト製のボディはロックを解除すると中枠付の軍艦部とレンズ付外殻(シェル)の上下に分かれる。 この中枠にフィルムをセットしてシェルと合わせ、フィルムをノブで巻上げて撮影する。 フィルム面は単玉レンズですよぉ、とレンズから等距離になるよう円に沿うように丸くなっている。 勿論自動巻き止め、二重露光防止や露光調整、距離調節は付いていないので、 赤窓を見て巻上げてからシャッターを押すだけ、あとはフィルムのラチチュードにお任せである。 (スペック情報はJFC会のnimaibaさんに教えていただいて訂正しました) |
使用したフィルムは往年のフィルム”ベリクロームパン” これはたまたま手元に”常温”で保存されていた、というか放っ散らかしにされていたもので、賞味期限は何と1978年6月、とても使えたシロモノでは無かろうが、試写なので取りあえず、と使ってみた。 撮影して現像してみたら、かなりかぶっていて全体にグレイのベールがかかっていたものの、何とか鑑賞できる画像が得られた。 モノクロフィルムは保つもんだなぁ、と今さらながら感心した次第であります。 それよりも何よりも嬉しかったのは、このフィルムのスプールが頑丈な金属製であったこと。 今となっては入手困難で貴重品の金属スプールが手に入ったことの方が嬉しかったりしました。 (^^ゞ |
とにかくレストアを、、、、といっても弄るようなところはなく、
シャッターが切れるのを確認してレンズを拭いて試写に持ち出しました。 そこで試写であるが、久しぶりに琵琶湖の湖東湖北に出かける予定があったので、そこで実施。 |
1. 湖東長浜市の長浜城でまず最初の1枚をパチリ。
フィルムの最初の方ではカブリが酷く、スプールのツバに近いところが特に酷い。
画面右端中央部は裏紙に貼り付いていたのか保存状態が良く定着後にきれいに抜けた。
新鮮なフィルムだとこのヌケとコントラストが得られるんですねぇ・・・
この写真、何か古い銀板写真を見てるような気がしてきます。
2. これは4コマ目、湖北の余呉(よご)の田圃で撮ったもの。
稲田は刈り入れが始まったところで、刈り取られたところとまだのところがまだらになっている。
近景から遠方に見える余呉駅、山や雲まできちんと写しとめてくれている。
3. これは5コマ目、余呉湖の桟橋で奥の方に生簀になった釣り堀がある。
これも立派な描写ですね、この写真を見ると単レンズとは思えない良好な写りです。
画面下部の白っぽいところはフィルムの乳剤劣化の酷いところと思われます・汗
4. これは最後の1コマ、8コマ目であります。ここまでくると今度はフィルムにシミが付いてます。
細軸中心部に近いところでは空気も入らず、締め付けられて乳剤が変化してしまったんでしょう。
この画面は直射は入っていないものの逆光なので、この踏ん張りは感動ものであります。
手前上部の頭から被さってくるような枝までは約1m強、
右手の植え込みの木までは2.5mくらいです。
このカメラのパンフォーカス焦点は2.5mあたりから無限大が深度に入っているようです。
横位置の記念写真で全身と背景が説明できる程度に入る3〜4m位の人物距離、
これがこのカメラの設計者が想定した写真ではないかと思われます。
今回の試写は期限切れ後28年でしかも大阪の過酷な温度条件での常温保存という
冗談みたいなフィルムを使って実施したが、それでもこれだけの描写が得られるとは正直びっくりした。
このファインダーはかなり倍率が低くて井戸を覗いてるくらい見かけの視野は小さいがフレームは実に正確でした。
ボックスカメラだとかオモカメだとかバカにしてはいけない。この英国カメラは本物のカメラだった。
KODAK Brownie 127 Kodak Verichrome pan (VP 127) -06/1978- ND-76 1:1 23.5℃ 8分 |