|
||||||
TSUBASA Semi F1
|
|||||||
2006. 6. 18
|
|||||||
|
|||||||
戦後の復興期雨後の筍のように乱立した俗に「四畳半メーカー」といわれた町工場製のスプリングカメラで、木川光学というところで作られた。 しかしこのメーカーは戦前にも5種類ほどのベスト判、セミ判のスプリングカメラを出しており、戦後になってからこのセミF1を出しているからそんじょそこらの四畳半ではなさそうだ。
六畳か八畳くらいか・・・ ブランド名はTSUBASAの他に戦前にはUGEIN(ユーゲン)というのも存在する。 GELTOFLEXという二眼レフも出している。 GOTEX、Kiko Semiというのも木川の製品らしい。 レンズは購入品の3枚玉と思われるが、シャッターは自社ブランド(KKK)となっている。 |
このカメラは稼働品で撮影可能であったが、シャッターの粘り、距離目盛りと実撮影距離のズレがあり、整備・調整が必要であった。 幸いジャバラからの光線漏れはなかった。 一番の問題はフィルムの圧板で、何と圧板はプレスボードで作られていてペコペコであった。 しかもそれが反り返っており、平面が出ていない。 これはひょっとして町の修理屋で付け替えられたものかもしれない。 圧板のスプリングもへたっていて、まともなフィルム平面が出せないと思われた。 そこで、これらのレストアを施して復活させることにした。 圧板は透明プラ板(文房具の下敷)から切り出した物を貼り付け、平面性と圧着力の回復を図った。 透明プラ板なので赤窓からのフィルム番号の確認の問題はないし、裏紙付のブローニーフィルムなのでフィルムにたいする影響も出ない。 見た目ブサイクだが、強めの仮止めレベルなのでイザとなればいつでも現状復帰できる。 |
とにかくレストアを完了してピント調整にかかったが、イヤらしい無限合わせを手製焦点板とルーペを使って何度やっても微妙にピントがずれる。 ほとほと悩んでじっくりカメラを見ると、フィルムゲートがフレーム枠と一体になった一発打ち抜きプレスの部品に塗装を施したもので、レールの削りだしなどの精密調整がされていない。 内外のレール段差もフィルムを通して遊びが見られる。
仕方ないので外レールに圧板を密着させて中でフィルムを遊ばせ、フィルム裏紙が巻き癖で圧板に張り付いているという前提でピント調整をすることにした。 ギリギリまでピントを追い込んでおいて、生フィルムを通して最後にスケールを実写して最終調整したら、やっと最短の5feetから無限大までピントが来るようになった。 これでピンボケを作ったら撮影者の目測が甘かったことになる、ヤレヤレ・・・ そこで試写であるが、また問題が発生した。 フィルムは撮影体勢の後ろから見て右から左に巻き取るが、赤窓の位置が右のフィルム室から出てすぐのところにある。 ここでコマ番号を合わせて1枚目を撮ると、裏紙にフィルムを貼り付けているテープで1コマ目が5mmほどけられてしまう。 赤窓の位置が右に寄りすぎているのである。 昔のフィルムはスタート位置が違ったのかなぁ・・・・不思議。 とにかく赤窓位置を左にずらすような大作業はしたくないので、コマ番号が規定位置から行き過ぎてから巻き上げを止めるという”運用上の作法”で逃げることにしたが、それでもフィルムの個体差でテープにけられることが多い。 もう1枚目は捨てるということで割り切ることにした。 16枚撮り終わっても2枚分近く余裕があるだけに悔しい。 試写をして、もう一つ気に入らないことがあった。 フィルムに写った画面が真四角でない! @がテープでけられてしまった1コマ目 最後にだめ押しで、ファインダーのセンターがフィルム画面のセンターから下右各々1cmほどずれている。 試写は京都の岡崎、平安神宮の南側の旧京阪京津線が走っていた三条通と白川が交わる近辺、 |
1.旧電車道が白川を渡る白川橋、至近距離はオッケーですね
2.白川橋を白川下流側から見たところ、右に行けば蹴上から逢坂山、左に行けば三条京阪、
川を遡れば疎水の分岐点と平安神宮、今は道路下を地下鉄東西線が走っている
ピント位置をフィルムの巻き癖に頼ってるだけに四周のピントがやや苦しい
3.逆方向の下流側を向いて近距離7feetのピントと後ボケの感じを確認
5.白川沿いの旧家の塀
5.岡崎公園横、やぶにらみで上と左が寸詰まりになってしまった
6.京都市美術館横の公園ベンチ
7.平安神宮の水盤の上に乗ってる奉納白虎
8.京都市勧業館(みやこめっせ)前に駐車していたバイク
TSUBASA Semi F1 / BESSEL 75mm F3.5 AGFA APX 100 -120 ND-76 1:1 22.5℃ 8分 |